ヨーグルトメーカーの選び方の「ポイント」や「前提知識」についてまとめておきたいと思います。「機能面の特徴」と「ヨーグルトを作るときの注意点・コツ」についても解説します。これらの前提知識をヨーグルトメーカーを選ぶ際の参考にして頂ければ幸いです。
ヨーグルトメーカー人気ランキングの罠
どのヨーグルトメーカーを購入しようか?選ぶ時に、人気ランキングなどで調べると「売れているヨーグルトメーカー」が上位に来ていることが良くあります。ただ、売れているからと言って必ずしも良いヨーグルトメーカーという訳では無いです。値段が安いから数売れていたりするだけのこともあります。
このページを読まれているような方は、おそらく事前に調査しようとされる賢い消費者様だと思います。釈迦に説法かもしれませんが、ヨーグルトメーカーを使ってどのような事をしたいか考えて、機能と価格とを考慮して選ぶことをおすすめします。
温度センサー、ヒーターの性能は?
高いヨーグルトメーカーと安いヨーグルトメーカーと何が違うの?と聞かれると、一番の違いは「温度センサー」「ヒーター性能」の違いがある。と答えられます。
「温度センサー」が良くないと、狙った温度、例えば43度に設定したとしても40度~45度くらいの間で温度を保ったりすることになる訳です。温度が数度違うと、狙った乳酸菌と違う乳酸菌が繁殖する可能性が出てきます。
例えば、R-1ヨーグルトの発酵温度は43度だと言われています。(過去記「R-1ヨーグルトをヨーグルトメーカーで作る方法について」参照)43度を保てないと別の乳酸菌が繁殖する可能性があります。
次に、「ヒーター性能」が良くないと、狙った温度に到達するまでに時間がかかります。乳酸菌が繁殖すれば乳酸菌の出す「酸」によって他の雑菌は繁殖しにくくなるのですが、狙った温度に到達するのが遅いと、乳酸菌が繁殖する前に他の雑菌が繁殖してしまう可能性が出てきます。また、増やしたい乳酸菌以外の乳酸菌が増えてしまう可能性も増えてしまいます。
この点、タニカ(TANICA)のヨーグルティアSが「温度センサー」「ヒーター性能」の機能に自信があるようで、公式HPで情報を掲載しています。
グラフを確認させて頂きますと、他社製品がどの製品かはさすがに不明ですが、タニカ製品の優秀さは分かります。あと、グラフを見るとヨーグルトの発酵温度40度付近に到達するのに水温5度から開始すると2時間、3時間程度かかっていることが分かります。
ここで疑問がでる訳です。「5度から温めるから時間が掛かるのでは?」つまり、先にに温めれば良い訳です。
牛乳を事前に温めておく必要性はあるのか?
牛乳は事前に温めておいた方が、狙った温度に早く到達します。ヨーグルトを作る場合は、牛乳パックごと電子レンジで温めるか、湯銭するなどの方法で事前に牛乳を温めておくことで設定したい発酵温度に迅速に到達させた方が良い訳です。
特に、安いヨーグルトメーカーを使う場合には失敗しないコツとして重要になってくる知識です。
温度設定は可能か?
タニカの「ヨーグルティア」「カモシコ」やアイリスオーヤマの「ヨーグルトメーカープレミアム IYM-012-W」だと1度単位で温度設定することが可能です。安い機種だと「27度」と「40度」だけの2択とか「40度」1択とかだったりします。
40度でプレーンヨーグルトしか作らないからそれで良いとか、27度で「カスピ海ヨーグルト」しか作らないからそれで良いといことで無ければ、細かく温度設定できる機種を選ぶことをお勧めします。
作る物ごとの発酵温度例を記載しておきます。目安ですがご参考までに。
作る物 | 発酵温度 | 発酵時間 |
プレーンヨーグルト | 40℃ | 約7時間 |
カスピ海ヨーグルト | 27℃ | 約7時間 |
ケフィアヨーグルト | 25℃ | 約24時間 |
豆乳ヨーグルト | 40℃ | 約7時間 |
天然酵母 | 27℃ | 約24時間 |
甘酒 | 60℃ | 約10時間 |
塩麹 | 60℃ | 約6時間 |
納豆 | 45℃ | 約48時間 |
ヤクルト | 37℃ | 約10時間 |
R-1ヨーグルト | 43℃ | 約7時間 |
タイマー機能はあるか?
タイマー機能については、無くても別に時計やスマホのタイマー機能などを使えば良いだけです。無くても特に問題ありません。タイマーで電源が切れる機能があったとしても、ヨーグルト完成後は速やかに冷やして冷蔵しないと発酵がどんどん進んで酸度が増してしまいます。ということで、タイマー機能はあっても無くても大差ありません。
牛乳パックをそのまま使う方式か?別容器か?どちらが良い?
牛乳パックをそのまま使う方式だと雑菌が入り難くて良い、だから牛乳パックをそのまま使う方式が良いという意見があります。
ただ、牛乳パックは縦長なので、種のヨーグルトを入れて均等にかき混ぜるのが大変です。次に、種となるヨーグルトを牛乳パックの中に入れたり、かき混ぜるのに使うスプーンの殺菌消毒は毎回必要です。
その点、別容器タイプであれば、容器に水を入れてスプーンと一緒にレンジでチンすれば熱消毒が簡単にできます。お手軽です。
次に、牛乳パックを使ったヨーグルトメーカーの場合、機種にもよりますが牛乳パック上側と下側とで温度差が出てしまうという口コミが多いです。おそらくヒーターがヨーグルトメーカーの下側にしかないのでしょう。
温まった牛乳が上側に対流して冷えた牛乳が下側に降りてきて、自然に設定温度に到達するという設計なのでしょうが、温度差が出来て発酵ムラが出るので好ましくありません。
発酵容器の素材は?
別容器で発酵させるヨーグルトメーカーの場合、安い機種だと「ポリプロピレン」を使った容器が多いです。タニカ製品などの高額機種だと「耐熱ガラス容器」を別売しています。低温調理に使う場合やには「耐熱ガラス容器」がお勧めです。
ガラス容器には「酸」に強く「臭い移りし難い」という特徴があります。多くの人は気にならないかも知れませんが、私はポリプロピレンの容器の独特の臭いが気になっていました。気になる方にはガラス容器がお勧めです。
プレーンヨーグルトを増やしても意味ない?
「ヨーグルトメーカーを購入して何をするの?」という問いに「プレーンヨーグルトを牛乳で作りたい。」と答えるのであれば、「買っても値段対して変わらないし、手間なだけじゃない?」と言われそうです。
ヨーグルトメーカーを使うのであれば、値段の高い「R-1ヨーグルト」や、日本では市販されていない「ケフィアヨーグルト」「豆乳で作るヨーグルト」などのヨーグルトを作るのでなければお得感は有りません。市販品を買えば良い訳ですから。
※ケフィアヨーグルトは酵母を含むため酵母発酵によって炭酸ガスを作り出します。そのため容器に小さな穴を開けないと容器が破裂してしまうのですが、日本の食品衛生法上そのような容器で販売することが出来ません。
豆乳で作るヨーグルトも自作するヨーグルトメーカーならではのヨーグルトです。ちなみに、使う豆乳によって味が変わりますので色々試してみる楽しみもあります。
色々なヨーグルトを作ってみたければ、1度単位で温度設定可能な機種を選んでおいた方が無難です。設定温度が異なると狙った菌と異なる菌が繁殖する可能性が出てきます。
ヨーグルト完成後すぐにすべきこととは?
ヨーグルトが完成したら、速やかに冷蔵します。冷やさないと発酵が続き酸度が高くなり酸っぱくなります。(冷却中も酸度はわずかづつですが高くなります。)乳酸菌の種類によっては自分で作った乳酸の酸で死んでしまう場合もあります。他の菌が増えてくる可能性もあります。
結局、どのヨーグルトメーカーが良いの?
「で、色々説明があるのは分かったけれどもどのヨーグルトメーカー買っておけば間違いないの?」と聞かれたら?
お勧めするのはタニカの「ヨーグルティアS」です。1度単位で温度設定可能で、ヨーグルト作成だけでなく「カスピ海ヨーグルト」「ケフィア」「天然酵母の発酵」「塩麹」「甘酒」「白味噌」「醤油麹」「納豆」など色々作る点もお勧めの理由です。高い設定温度が設定可能で安定して温度を保ってくれるので「低温調理」などに利用される方もいます。耐熱ガラス容器も使えます。
ヒーターの性能も良くて狙った温度に素早く到達して安定温度を保ってくれます。
ヨーグルトメーカーの中では値段の張る方ですが、長く使える物なので「安物買いの銭失い」にならないよう、初期投資して良い物を買っておくことをお勧めします。
次にお勧めするのはアイリスオーヤマの「ヨーグルトメーカープレミアムYM-12」です。牛乳パックをそのままヨーグルト作成に使えるタイプかつ、別容器付きで、温度設定も可能です。ヨーグルティアSは高いからちょっとなぁと言う方にお勧めです。とにかくコストパフォーマンスが良い機種です。
上記、2点以外の機種については別記事「ヨーグルトメーカー (甘酒メーカー) お勧めランキング」をご参照下さい。
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