ザワークラウトを作るにあたっての基本的な作り方と基本知識をまとめておきます。そもそもザワークラウトとは何か?何日発酵させるのか?乳酸発酵に酸素は必要か?最適な発酵温度は?温度によって何が変わるのか?ザワークラウトが健康に良いと言われている訳とは?などなど。
ザワークラウトとは何か?
ザワークラウトとはサワー(酸っぱい)クラウト(野菜)という意味で、ドイツ発祥の乳酸発酵させた漬物の総称で特にキャベツを乳酸発酵させた物が有名です。
酢と塩を混ぜて簡易的に作る簡易的なザワークラウトと、キャベツに塩等を加えて乳酸発酵させて作る正統派ザワークラウトがあります。通常ザワークラウトと言えば乳酸発酵させた物を指します。
ザワークラウトの作り方・レシピ
キャベツを千切りにして、食塩を加えて瓶などに入れて密封して常温で乳酸発酵させて作ります。
道具を熱消毒
まずは雑菌を減らすために調理器具を熱消毒しておきます。
保存容器も、水を入れて電子レンジで温めて熱消毒しておきます。
手を良く洗う
作業する手が汚れていては失敗の原因となります。石鹸をつけて擦り洗いしてから流水で30秒以上流してから作業開始します。
キャベツを千切り
次にキャベツを千切りにします。
外側の汚れたキャベツを外して、太目に包丁で切っても乳酸発酵した後は柔らかくなります。キャベツの芯を入れても問題ありません。逆に千切機で細くスライスすると塩もみをした際に水分の出が早いのと繊細なザワークラウトが出来上がります。どれくらいの細さで千切りするかはお好み次第です。
キャベツに自然に付いている乳酸菌を使って乳酸発酵させるのでキャベツは洗いません。汚れている外側を2、3枚はずしてキャベツの内側を使います。
キャベツは新鮮な水分量の多い物を使った方が失敗が少なくて済みます。キャベツに付いている乳酸菌も新鮮なキャベツの方が元気です。
また、古いキャベツだと塩もみした際に出てくる水分が足りないので塩水を足してやるなどしてやる必要も出てきます。キャベツが水分に浸らないと空気と触れてしまい雑菌繁殖の原因となります。また、古いキャベツだと雑菌がキャベツに繁殖している危険性もあります。
という訳で、新鮮なキャベツを使った方が失敗し難く美味しいザワークラウトが出来る可能性が高いので新鮮なキャベツを使うのが鉄則です。乳酸発酵ではキャベツの糖が乳酸菌の栄養となるので糖度の高いキャベツの方が発酵し易くなります。無農薬・低農薬キャベツなどが手に入れば言う事無しです。
ちなみに、キャベツ1玉の大きさにもよりますが、1リットルの容器分作るのにキャベツ1玉程度を使います。
キャベツの塩もみ
千切りしたキャベツに塩を加えて塩もみします。
適切な塩分濃度にすることで雑菌の繁殖を抑える事になります。キャベツがしんなりして、水分が出てきこればOKです。手で握りつぶすように揉んでやります。キャベツの繊維が壊れるのと塩の効果によりキャベツの水分が出てきます。
乳酸発酵させる際には、キャベツから出てきた水分にキャベツが浸っている必要があります。乳酸菌の発酵には酸素は不要なので水分に浸っている方が雑菌が繁殖し難くくなるためです。
塩分濃度はキャベツ重量の2%~3%程度になるように加えます。
例)キャベツ重量465gの場合465×2%=9.3g:465×3%=13.95g:9.3g~13.95gの塩を加える。
塩もみする際に、香辛料やハーブを加えたい人は加えます。
最低限必要な材料は「キャベツ」「塩」です。これだけの材料で作っても全然美味しいです。他に好みで加える香辛料やハーブを挙げると「鷹の爪」「黒胡椒」「ニンニク」「ローリエ」「キャラウェイシード」「クミン」等があります。これらについては別ページにてまとめています。
香辛料やハーブを入れる時には軽く洗ってから入れるようにします。
瓶詰めする
千切りして塩もみしたキャベツとその水分を瓶詰して乳酸発酵させます。
空気をよく抜いてやるのが秘訣です。繁殖するのに空気を必要とするカビや雑菌が増えにくくなります。上からよく押さえて空気抜きをやります。
瓶の上側にキャベツの外側の葉を蓋代わりにして空気に触れないようにする方法がありますが、キャベツの外側に雑菌が付いている可能性もあるので私はラップで蓋をしてやる方法の方が安全だと思います。※上の画像ではキャベツの外側を蓋に下のですが心配で結局ラップでも蓋をしました。
発酵させる入れ物も「瓶」ではなく「ジップロック」を使う方法もあります。ただ完成後に冷蔵庫で保存することを考えると「瓶」で作ってそのまま保存した方が楽ではあります。
保存容器は野田琺瑯やiwakiのガラス容器が人気があります。私の場合ですとヨーグルトメーカーの容器を使っています。
乳酸発酵させる
常温で直射日光の当たらない場所で乳酸発酵させます。
季節や1日の時間帯によって発酵温度が変わってきます。発酵温度25度程度なら14日程度で完成です。
発酵途中でぷくぷくと泡が出てきます。心配になるかも知れませんが、酵母菌の酵母発酵によって炭酸ガス(二酸化炭素)が生成されているためです。特に問題はありません。ただ密閉タイプの瓶で発酵させている場合には数日毎にガス抜きをしないと瓶が割れる危険性が出てくるので注意が必要です。
真夏など気温の高い時期だと乳酸菌以外の菌が繁殖して失敗する可能性が高くなります。暑い時期はザワークラウト作りは止めておいた方が無難です。作る場合は塩分濃度を高目の3%にして鷹の爪など防腐効果のある食材を入れて作る事をお勧めします。
密封するタイプの瓶に入れて冷蔵庫保存する場合には、ガスが発生して割れたりしないように蓋を緩めておくことをお勧めします。
乳酸菌は通性嫌気性菌
乳酸菌は発酵する際に酸素を必要としない「嫌気性菌」です。また、乳酸菌は大気レベルの酸素存在下でも生育できる「通性嫌気性菌」に該当します。
通性嫌気性菌は酸素の有無にかかわらず発酵または嫌気呼吸でエネルギーを得ていますが、酸素がある条件かでは好気呼吸でエネルギーを獲得します。そのため、酸素がある環境でも乳酸発酵には問題無いのですが、雑菌が繁殖できない酸素が無い環境下で発酵させた方がザワークラウトの成功率が上がります。
ザワークラウトの失敗を見分ける
ザワークラウトを始めて作る時など成功しているのか失敗しているのか不安になります。そこで失敗している場合の見分け方をまとめておきます。以下の症状が見られたら失敗と諦めて捨てる事をお勧めします。
「発酵温度」「塩分濃度」「発酵期間」で味が変わる?
ザワークラウトの発酵初期段階では瓶の中で様々な菌が活動しています。そして乳酸菌が生育する事で「乳酸」が作られ瓶内のPHが酸性になって行きます。すると酸性条件下で生きられない雑菌が死滅して乳酸菌ばかりが増えて行く事になります。
さらに発酵が進んでいくと、多量の乳酸を作る事ができる「棹状乳酸菌」が活発に増殖してさらに酸性度が上がって行きます。その影響で酸っぱさをより感じるようになります。
また、このような乳酸発酵が進む中でも、酵母菌も生育する事ができるため「酵母発酵」と「乳酸発酵」との影響で複雑な味わいのザワークラウトが出来上がる訳です。(酵母菌と乳酸菌は生育環境がほぼ同じ)
そして、乳酸菌と言っても様々な種類の乳酸菌が存在しており、「塩分濃度」「発酵温度」「発酵期間」により、どの菌が多く増えて行くのかが変わってきます。酸性度が上がって行くと死んでしまう乳酸菌が出てきます。自分で作った酸で死んでしまうと言うのもおかしな話ですが、乳酸菌が自ら作った酸で減ってくると代わりに酵母菌が増え始めます。温度によっても、暖かい温度帯だと酵母菌の方が活発に活動します。
これらの環境条件によって、菌のバランスや生成物の度合いが違ってくる事で、出来上がるザワークラウトの味が違ってくると言う訳です。
ヨーグルトメーカーを使った発酵
さて、発行環境の違いによって味が異なるザワークラウトが出来てしまうのですが、ヨーグルトメーカーを使って発酵温度を一定に保つことである程度は狙った乳酸菌を増やすことが可能になります。次回はヨーグルトメーカーを使ってザワークラウトを作ってみた結果をまとめておきます。
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